内分泌内科について

Endocrinology


当院では、糖尿病外来に加えて、内分泌の外来を行っております。内分泌の代表的な臓器である甲状腺は、のど仏の下にある臓器です。甲状腺の疾患では、甲状腺機能低下症(橋本病)や、甲状腺機能亢進症の中で代表的なバセドウ病や、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎に対して、必要に応じて投薬加療を行っております。 また、著明な高血圧があったり、発汗、動悸などの自覚症状を認める際には、採血で副腎ホルモン等の検査を行います。二次性高血圧の原因として代表的な原発性アルドステロン症、著明な高血圧を認める褐色細胞腫、高血糖の原因となるクッシング症候群などの副腎疾患なども精査を行い、必要に応じて、専門の病院に御紹介させて頂きます。

  当院では甲状腺エコー (Vscan air CL、ポケットエコー;小型の携帯型の超音波検査器具)を2024年 11月より導入致しました。橋本病やバセドウ病の患者さんや、健診で甲状腺腫大を指摘された患者さんなどに対して、必要に応じてエコー検査をさせていただきます。

 今後は当院で超音波による甲状腺の画像診断も行い、甲状腺腫瘍性病変の有無や甲状腺疾患の活動状態などについても精査いたします。腫瘍性病変に対しては、できる限り対応させて頂きますが、細胞針検査が必要な場合には、専門の病院へ御紹介させていただきます。(甲状腺の穿刺細胞診の検査は当院では行っておりません。)

甲状腺機能低下症(橋本病)

 甲状腺ホルモンが徐々に低下してくると、自覚症状として、寒気や足のむくみ、倦怠感、体重増加などの症状があります。脈拍の低下や、血液検査で悪玉(LDL)コレステロール、筋酵素(CK)の上昇を認めます。甲状腺ホルモン(FT4,TSH)、及び甲状腺自己抗体(TPO抗体、Tg抗体)を測定します。明らかな甲状腺機能低下を認めた場合には、必要に応じてレボチロキシンNaによる投薬加療を行っていきます。また、甲状腺の腫瘤性病変や炎症の程度の確認のため、甲状腺エコーで精査を行います。

 日常生活では、橋本病の方は、ヨード含有量の多い食材である海藻類(特に昆布)や、イソジンでのうがいはなるべく控えるようにしてください。甲状腺ホルモンが低下しやすい原因となります。

 甲状腺に腫瘍性病変を認めた際には、大きさや形態により細胞診検査が必要な腫瘍の場合には当院では施行できないため、専門の病院を御紹介させていただきます。

甲状腺機能亢進症 (バセドウ病、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎 等)

 甲状腺ホルモンが亢進すると、自覚症状としては、動悸、息切れ、イライラ、体重減少などの症状がでてきます。高齢者では、軽度の亢進症であっても心房細動を誘発し、心不全の原因となりやすくなります。血液検査で甲状腺ホルモン高値(FT4上昇、TSH抑制)の場合には、甲状腺自己抗体(TSH受容体抗体等)を測定し、甲状腺エコーで精査していきます。

 甲状腺機能亢進症の主な原因であるバセドウ病や、それ以外に考えられる無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎などの鑑別を行います。バセドウ病に対しては、抗甲状腺薬を開始し、無顆粒球症等の重篤な副作用や肝障害に注意して血液検査で経過をフォローしていきます。薬物療法に対して治療抵抗性であったりした際は、必要に応じて専門病院への御紹介をさせていただきます。